古道大意(読み)こどうたいい

精選版 日本国語大辞典 「古道大意」の意味・読み・例文・類語

こどうたいいコダウタイイ【古道大意】

  1. 江戸後期の国学書。二巻二冊。平田篤胤著。文化一〇年(一八一三成立古道をわかりやすく概説した書。篤胤の講義門人筆記したもの。

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改訂新版 世界大百科事典 「古道大意」の意味・わかりやすい解説

古道大意 (こどうたいい)

平田篤胤の古道すなわち日本古来の道についての講説を,門人が筆録した書。2巻。篤胤は1809年(文化6)34歳のころより,江戸でひろく一般に,古道,儒道,仏道などの講説をはじめたが,本書もその講説の一つで,のち24年(文政7)に出版した。通俗平易な演説調の文章体。内容は,古道を究める学風古学という理由,古学を近世になって世にひろめた人々のこと,その学問の根拠として《古事記》を尊ぶべきこと,そこにみられる天地開闢,日本国の固成,神々の事績より,その神の語源,本質を説き,さらに天孫降臨より神武天皇について述べる。また当時の世界地理学の知識を基礎に,ヨーロッパ,アフリカ,アメリカなどの諸国にくらべて,日本の国土の特殊性と有利性を説き,大和心,御国魂について述べている。なかで,日本の心また日本について理解するには,古学の精神をもってあたることが大事で,儒仏の学また西洋科学で曲解すべきでないことを戒めている。《平田篤胤全集》に収める。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「古道大意」の意味・わかりやすい解説

古道大意
こどうたいい

平田篤胤(あつたね)の著書。2巻。1804年(文化1)真菅乃屋(ますげのや)と称して自立してから門人に対して講説したものを、11年門人に筆記させた。「古道大意」「俗神道大意(ぞくしんとうたいい)」「西籍慨論(せいせきがいろん)」「出定笑語(しゅつじょうしょうご)」「志都(しづ)の石屋(いわや)」「気吹於呂志(いぶきおろし)」「歌道大意」である。本書は、天地の初発(はじめ)以来皇統が続き、物も事(わざ)もわが国は万国に優れていることなどについて説いたものであるが、多くを本居宣長(もとおりのりなが)の『直毘霊(なおびのみたま)』に負うており、篤胤独自の考えもうかがわれるものの、この初期の段階では宣長の著書の強い影響下にあることが知られる。

[田原嗣郎]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「古道大意」の意味・わかりやすい解説

古道大意
こどうたいい

江戸時代後期の神道書。平田篤胤著。2巻。文化8 (1811) 年完成。文政7 (24) 年刊。本書は篤胤の自筆によるものではなく,彼が門人や一般聴衆に対し,彼の古道説の大要を講演したものを門人が筆録した講義ノートである。したがって文体は平易な口語体で日常会話の語りかけの調子となっており,篤胤の思想を知るための格好な入門書でもある。内容は本居宣長の『直毘霊』を下敷きにおいて国学の思想を紹介し,『日本書紀』よりも『古事記』のほうが古代日本を知るための文献として重要であることを述べるとともに,自己の著書『新鬼神論』に述べた主宰神の実在を主張する神観をここでも提示している。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「古道大意」の解説

古道大意
こどうたいい

平田篤胤(あつたね)の講説を門人が筆録したもの。2巻。1811年(文化8)筆記,24年(文政7)刊。古学の大要,神代の概要,大和心などからなる。説の多くは本居宣長「直毘霊(なおびのみたま)」の影響をうけているが,天地創造論には服部中庸「三大考」の説もとりいれ,のちの「霊能真柱(たまのみはしら)」との関連も認められる。全編を貫く独特の講釈調からは,本居派とは異なった平田派国学の庶民性がよみとれる。「新修平田篤胤全集」所収。

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