である(読み)デアル

デジタル大辞泉 「である」の意味・読み・例文・類語

で‐あ・る

[連語]断定助動詞「なり」の連用形「に」に接続助詞「て」、補助動詞「あり」の付いた「にてあり」の音変化》
断定の意を表す。…だ。「兄は作家―・り、妹はピアニスト―・る」
「タダツキセヌモノワ涙―・ッタ」〈天草本平家・二〉
(「のである」「なのである」の形で)説明する意、または強く決意を表明する意を表す。「人間とは孤独なものなの―・る」
[補説]「である」は鎌倉時代に発生し、室町時代に発達した語で、「じゃ」「だ」はこれから出たもの。現代では、文章語・演説口調の常体として用いられる。

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精選版 日本国語大辞典 「である」の意味・読み・例文・類語

で‐あ・る

  1. 〘 連語 〙 ( 断定の助動詞「だ」の連用形に補助動詞「ある」の付いたもの。多く体言に付き、または活用語連体形に、助詞「の」を介して付く ) 話し手の説明、断定的判断を表わす。現代語では主に文章語として用いられる。
    1. [初出の実例]「わごぜは今様は上手てありけるよ。この定(ぢゃう)では舞もさだめてよかるらむ」(出典:高野本平家(13C前)一)
    2. 「寵愛せらるることを、人に見せたがる物であるか」(出典:寛永刊本蒙求抄(1529頃)六)
    3. 「低い処は、日が入りたれども林巒にはまだいり日のかげが、きらきらと見ゆるである」(出典:唐詩選国字解(1791)五言古)
    4. 「吾輩は猫である。名前はまだ無い」(出典:吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉一)

であるの語誌

( 1 )現代語の「である」の発生については、( イ )中世の「である」は、中世末期には「だ・ぢ(じ)ゃ」と音転化して多用され、それに従って終止形「である」は、近世初頭に消失したが、近世末期に、成立の背景が異なる「である」(オランダ語 zijn の直訳語アルと補格語デとの結合)が長崎通詞によって蘭学書の訳文に用いられ、これが現代語「である」の起源になったという説(山本正秀)と、( ロ )中世の「である」は、近世になると、漢学者の講義物、国学者の口語訳僧侶の説教類などに多用され、江戸期の教養層の用語として存続し続けたとする説との二つがある。
( 2 )明治以後は言文一致運動の盛行、演説や実用文での試行、小説における「である」調の完成(尾崎紅葉「多情多恨」)、国定教科書における口語文の採用などによって普及一般化し、現代口語文の基幹をなすに至った。
( 3 )現代語では「だ」と同じはたらきを持つものとして「である」全体を助動詞とみる説もある。ただし、「で」と「ある」との間に「は」「も」などの助詞をはさむことがある。
( 4 )「静か」「平ら」「熱心」などに「である」の付いたものは、通常、形容動詞に補助動詞「ある」を伴ったものと説かれるが、「である」の用法としては差違がない。助動詞「そうだ」「ようだ」の場合も同様。
( 5 )否定形には、「でない」が用いられる。丁寧体は「であります」または「です」、その否定形は「では(でも)ありません」。
( 6 )活用語を受ける「のである」は、活用語の叙述に説明の口吻を加える。
( 7 )活用語に直接するのは、現代語としては「であろう」「ではないか」およびその丁寧体の場合に限られる。

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