ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ディオニュシオス1世」の意味・わかりやすい解説
ディオニュシオス1世
ディオニュシオスいっせい
Dionysios I
[没]前367
古代ギリシア,シラクサ (シラクーザ ) の僭主 (在位前 405~367) 。前 405年戦争の危機を利用し,民会を扇動して全権将軍,事実上の僭主となる。以後8年間は政敵を打倒し,ナクソス,カタナなどからギリシア人を放逐して傭兵やシチリア人を移住させるなど,自己の権力拡大に努力。カルタゴとの戦争 (前 397~392) では苦戦しながらも敵の攻撃を退け,有利な条件で和平を結び,シチリアでの勢力を強化。前 390年以降は南イタリアヘ遠征し,南イタリアのギリシア諸都市の大半を支配下においた。前 382年再びカルタゴと戦争を始め,大敗した (前 375?) にもかかわらず,前 368年に再開,苦戦のうちに没した。彼は暴君ではあったがシラクサに繁栄をもたらし,シチリアへのカルタゴの進出をはばみ,またギリシアの政局への影響も大きかった。さらに詩人を自認し,みずから悲劇を書くとともに宮廷へプラトンらの学者,文人を招きヘレニズムの高揚に努めた。
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