デ・サンクティス(読み)でさんくてぃす(英語表記)Francesco De Sanctis

日本大百科全書(ニッポニカ) 「デ・サンクティス」の意味・わかりやすい解説

デ・サンクティス(Francesco De Sanctis)
でさんくてぃす
Francesco De Sanctis
(1817―1883)

イタリアの文学者。士官学校教授を務めていた1848年5月、ブルボン王朝支配に反対するナポリ民衆蜂起(ほうき)に加わったかどで、50年に投獄され、2年半にわたる獄中生活の間、ヘーゲルの『論理学』を耽読(たんどく)し、タッソを主人公とする詩『牢獄(ろうごく)』を書く。その後、アメリカへ強制的に送られそうになるが、マルタ島で脱走してトリノへ逃れる。その後、チューリヒ工科大学でダンテペトラルカ、タッソなどを講ずる。恩赦を得て、ナポリへ帰ると、カブール内閣の文部大臣を務めるなどの政治活動のかたわら、『評論集』(1866)、『ペトラルカ論』(1869)、『続評論集』(1872)を相次いで刊行。また、文学作品を通じて各時代の社会や精神生活を再構築し、ヨーロッパにおけるロマン主義批評のもっとも完成した作品といわれる『イタリア文学史』(1870~71)を発表した。著作は『デ・サンクティス全集』(1951~ )に収められている。

[川名公平]

『池田廉・在里寛司他訳『イタリア文学史』全二巻(1970、73・現代思潮社)』


デ・サンクティス(Gaetano De Sanctis)
でさんくてぃす
Gaetano De Sanctis
(1870―1957)

イタリアの古典古代史家。ローマ大学でK・J・ベロッホに学び、アテネ史の研究学位を得た。1929年にローマ大学教授となったが、やがて失明。31年にはファシスト政府に抵抗して職を追われた。しかし二重の不幸にも屈せず研究を続け、45年に終身教授に迎えられた。主著『ローマ史』Storia dei Romani四巻(1907~23)、『ギリシア史』Storia dei Greci二巻(1939)。

[古山正人]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「デ・サンクティス」の意味・わかりやすい解説

デ・サンクティス
De Sanctis, Francesco

[生]1817.3.28. モッライルピーナ
[没]1883.12.29. ナポリ
イタリアの文学史家,評論家自由主義思想の愛国者としてフランスの支配に反抗し,ブルボン政庁に捕えられたが,のちチューリヒに亡命,同地の大学でイタリア文学を講じた。 1860年に帰国,独立期の文相 (1861~62) として教育改革を行い,71年以降はナポリ大学で比較文学を講じた。主著『ペトラルカ論』 Saggio critico sul Petrarca (69) ,『イタリア文学史』 Storia della letteratura italiana (2巻,70) 。

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