デシッテル(その他表記)Willem de Sitter

改訂新版 世界大百科事典 「デシッテル」の意味・わかりやすい解説

デ・シッテル
Willem de Sitter
生没年:1872-1934

ド・シッターともいう。オランダ天文学者フローニンゲン大学に学ぶ。南アフリカケープ天文台,フローニンゲン大学を歴任ののち,1908年ライデン大学教授,18年よりライデン天文台長となる。彼を有名にしたのは1917年提案の一般相対論的宇宙モデルである。それによれば,宇宙の物質密度は0であるが,遠方からくる光は赤方偏移を示し,座標の変換によっては宇宙が時間の指数関数として無限に膨張すると解釈することも可能である。同じ年にA.アインシュタインが提案したモデルは,物質は存在するが,引力と宇宙斥力とがつりあって静止状態を保つもので,デ・シッテルのモデルとは対比的である。29年に宇宙の膨張が観測的に明らかとなり,デ・シッテルのモデルこそ宇宙の真実に近いと考えられた一時期があった。デ・シッテルがもっとも長期にわたって研究したのは,宇宙論よりはむしろ木星の四大衛星力学や,地球潮汐摩擦と月や太陽の加速との関係の問題,天文定数の問題などであり,それぞれ顕著な業績を残している。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

関連語 大沢 清輝

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「デシッテル」の意味・わかりやすい解説

デ・シッテル

「ド・ジッター」のページをご覧ください。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android