日本で品質管理を組織的に啓蒙・普及するのに貢献したアメリカの統計学者デミングWilliam Edwards Deming(1900-93)を記念して設けられた品質管理に関する賞。デミングの著書の日本語訳の印税などを基金に,1951年に設立された。日本の品質管理の研究および普及に顕著な功績のあった個人に与えられる本賞と,品質管理の応用によって業績を向上させることに成功した企業に与えられる実施賞とがある。日本経済は第2次大戦後間もないころの“made in Japan”という粗悪品の代名詞をそののち優秀品のそれに置きかえることに成功したが,この背景には品質管理の発展があり,デミング賞の名もよく知られるようになった。
デミングはアメリカのアイオワ州に生まれ,ワイオミング大学を卒業後,同大学の講師,農務省技師,連邦標準局講師,ニューヨーク大学教授などを歴任した。アメリカにおける初期の品質管理の啓蒙に貢献したほか,サンプリング理論の権威者としても知られている。戦後たびたび来日し,50年ころより品質管理の啓蒙活動を行う。この功績に対し,60年に勲二等が授与された。
執筆者:真壁 肇
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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