とったり(読み)トッタリ

デジタル大辞泉 「とったり」の意味・読み・例文・類語

とっ‐たり

大声で「捕ったり」と叫ぶところから》歌舞伎で、捕り手の役。また、それに扮する役者
とんぼがえり舞台1が演じるのでいう。
相撲きまり手の一。相手の差してくる手を両手で抱え、からだを開いて手前にひねり倒す技。

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精選版 日本国語大辞典 「とったり」の意味・読み・例文・類語

とっ‐たり

  1. [ 1 ] 〘 感動詞 〙 ( 「捕(と)った」の意 ) 捕手(とりて)が犯人を捕える際に発することば。捕えたぞ。
    1. [初出の実例]「打てかかかるをどこへとったり」(出典:俳諧・独吟一日千句(1675)第三)
  2. [ 2 ] 〘 名詞 〙 ( 動詞「とる(取)」に助動詞「たり」の付いた「捕ったり」から )
    1. 捕手(とりて)をいう。
      1. [初出の実例]「一の縄で上らふ物歟露時雨〈西花〉 軒口くぐるとったりの声〈西六〉」(出典:俳諧・西鶴五百韻(1679)何餠)
    2. 歌舞伎で捕手に扮(ふん)した役。「捕(と)ったり」と叫ぶところからいう。また、下級俳優の別称。〔戯場訓蒙図彙(1803)〕
    3. ( に扮した役者が常に演じるところから ) 歌舞伎で、素手の立回り、とんぼがえりをいう。〔現代語大辞典(1932)〕
    4. 人をとり押さえる方法。兵法。
      1. [初出の実例]「兵法(トッタリ)を五六匁がのならふた男ふみとどまり」(出典咄本・軽口腹太鼓(1752)二)
    5. 相撲のきまり手の一つ。相手の片手首自分の両手でかかえこむようにして同時に体を開き、相手手首を引きながら倒す技。
      1. [初出の実例]「大力思ひのきづな何のその いでとったりにあふせ白浪〈江雲〉」(出典:俳諧・物種集(1678))

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「とったり」の意味・わかりやすい解説

とったり

相撲の決まり手の一つ。相手が差しにきた右 (左) 腕を取って押さえ,その手を下外から自分の左 (右) 腕でひっかけ,右 (左) 手で手首をつかみ,左 (右) 肩を入れて,前へ引き回すようにひねり倒す。下外からひっかける左 (右) 腕を上外からかい込めば,さか (逆) とったり。

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