トルコ大地震(読み)トルコダイジシン

デジタル大辞泉 「トルコ大地震」の意味・読み・例文・類語

トルコ‐だいじしん〔‐ダイヂシン〕【トルコ大地震】

1999年8月17日、トルコ北西部で発生したマグニチュード7.8の地震死者約1万7000人、被災建物約24万4000棟など、甚大な被害があった。トルコ北部には全長1000キロメートルにおよぶ北アナトリア断層が走っており、この断層沿いでは過去にマグニチュード7級の地震が多発していた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「トルコ大地震」の意味・わかりやすい解説

トルコ大地震
とるこだいじしん

1999年8月17日3時02分(日本時間9時2分)ごろトルコ北西部(震源北緯40.8度、東経29.9度)で発生した表面波マグニチュード(MS)7.8、モーメントマグニチュード(MW)7.5の大きな地震。死者の数は約2万人にのぼり、非常に大きな被害があった。震源はトルコ北西部、コジャエリ県の工業都市イズミット付近で、コジャエリ地震、あるいはイズミット地震とよばれている。この地震により、ほぼ東西方向におよそ100キロメートルにわたって地表地震断層が現れた。トルコ北部には北アナトリア山脈が東西に連なっているが、その南麓沿いに1000キロメートル以上におよぶ右横ずれの北アナトリア断層が走っている。コジャエリ地震は、その西端付近で発生した。この断層は、アナトリアプレートとよばれるマイクロプレートの北縁にあたり、ユーラシアプレートとの境界をなしている。北アナトリア断層では、1939年にその東端部でMS7.8(表面波マグニチュード)の大地震(エルジンジャン地震)が発生し、死者約3万人におよぶ被害を生じた。その後、1942年、1943年、1944年、1957年、1967年に、いずれもマグニチュードが7程度の地震が5回、北アナトリア断層に沿って、順次震源を西に移動させながら発生した。次には、さらにこの断層の西側の領域で地震がおこるであろうと考えられていたが、1967年以後長い間地震がおこらなかったので、この地域は地震空白域と考えられ、日本の研究者も参加して地震や地殻変動観測が重点的に実施されていた。1999年夏期には電磁気観測による断層の深部構造探査も実施されていた矢先、予想されていた断層上で地震が発生した。トルコ北西部ではさらに同1999年11月12日、MW7.1の大地震が発生し、大きな被害があった。この地震がおこったのはコジャエリ地震の震源の約100キロメートル東方のデュズジェ付近で、コジャエリ地震の余震域の東端付近である。しかし、これは、コジャエリ地震の余震ではなく、別の地震と考えられている。

[長宗留男・山下輝夫]

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