矢先(読み)ヤサキ

デジタル大辞泉 「矢先」の意味・読み・例文・類語

や‐さき【矢先】

矢の先。やじり。
矢の飛んでくる所。矢おもて。
物事が始まろうとする、ちょうどそのとき。「帰ろうとした矢先に呼ばれる」
ねらう目あて。ねらい。
「―ノコマカナ人」〈日葡
[補説]3について、近年では「家を出た矢先に雨が降り出した」のように、直後の意で用いることもある。
[類語](1矢じり矢の根雁股石鏃/(3折も折折しも折よく折節折から丁度頃しも時しもきわ際してたまたま偶然適時

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精選版 日本国語大辞典 「矢先」の意味・読み・例文・類語

や‐さき【矢先・矢前・鏃】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 矢の端。鏃(やじり)
    1. [初出の実例]「倭の鍛(かぬち)部天津真浦(まうら)をして真麛(まかこ)の鏃(ヤサキ)を造らしめ」(出典:日本書紀(720)綏靖即位前(熱田本訓))
  3. 矢の飛んで来る前面。矢の当たる所。矢おもて。
    1. [初出の実例]「命を捨てて矢前(ヤサキ)に立って振舞ひしかども」(出典:源平盛衰記(14C前)一一)
  4. 弓矢をもって戦うこと。矢いくさをすること。
    1. [初出の実例]「返事は互にやさきの時、帰れやつとぞ仰ける」(出典:浄瑠璃・国性爺後日合戦(1717)五)
  5. 矢を射る方向。転じて、ねらう目あて。ねらい。まと。
    1. [初出の実例]「Yasaqino(ヤサキノ) コマカナ ヒト〈訳〉上手に弓を射る、すなわち、的を誤らない人」(出典:日葡辞書(1603‐04))
  6. 事のまさに始まろうとする時。ちょうどその時。とたん
    1. [初出の実例]「そのやさきに、おてをかくるでもなし」(出典:虎明本狂言・節分(室町末‐近世初))

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