改訂新版 世界大百科事典 「トービー」の意味・わかりやすい解説
トービー
Mark Tobey
生没年:1890-1976
アメリカの画家。ウィスコンシン州センタービル生れ。正規の美術教育はうけておらず,はじめはイラストレーターとしてシカゴやニューヨークで活動。1922年シアトルで教職についたころから象形文字のような絵を描きはじめた。この時代からイギリス滞在期(1930-38)を通じて東洋の思想,芸術に強くひかれ,34年には,中国,日本などアジア諸国を訪れて絵のほか詩や書に親しむ。こうした経験から《ブロードウェー》(1935ころ)に見られるような,白い線が画面を自在に往来する〈ホワイト・ライティングwhite writings(白描)〉を生み出し,そこからさらに,遠近法を否定して形体を粉砕するという独自の絵画に到達した。60年までシアトルに住み,ポロックら東部の抽象表現主義の作家にも強い影響を与えた。
執筆者:千葉 成夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報