バハーイー教(読み)バハーイーキョウ(英語表記)Bahā'ī

デジタル大辞泉 「バハーイー教」の意味・読み・例文・類語

バハーイー‐きょう〔‐ケウ〕【バハーイー教】

《〈アラビアBahā'ī》19世紀後半、バーブ教の分裂後、神の啓示を受けたイラン人バハーウッラー(本名ミールザ=ホセイン=アリー)の創始した一神教。世界平和、男女平等偏見打破貧富格差除去、教育の重視などを唱える。聖職者を置かず共同体を結成して活動する。日本には明治42年(1909)伝来。本部イスラエルハイファイスラム教から派生したが、イスラム教は異端と見なす。バハイ教

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改訂新版 世界大百科事典 「バハーイー教」の意味・わかりやすい解説

バハーイー教 (バハーイーきょう)
Bahā'ī

バハー・アッラーフと名のったイラン人ミールザー・ホセイン・アリーMīrzā Ḥoseyn `Alī(1817-92)がはじめた宗教。彼はテヘラン名家に生まれ,1844年セイエド・アリー・モハンマドのバーブの宣言後に初期のバーブ教徒になって指導的役割を果たしたが,52年の大弾圧で逮捕,投獄された。その後家族とともに国外に追放され,63年にバグダード近郊においてバーブが予言した〈神が現し給う者〉であると宣言し,それからまもなく新宗教の布教を始めてバーブ教から離脱し,バーブ教徒の大半は新宗教を受け入れた。オスマン帝国政府によりイラク,トルコから追放された彼は,68年にパレスティナのアッカー(アッコ)に達し,ここを新宗教の根拠地と定め,布教・執筆活動に努めた。彼は各国の指導者に手紙を送って新宗教の支持を訴え,死後2年で早くもアメリカに最初のバハーイー教徒の組織が形成された。長子アッバース・エフェンディー‘Abbās Efendī(1844-1920)は父の後を継ぎ,1910年代に欧米に布教の旅を続けて大きな成果を挙げ,同地域におけるバハーイー教の基礎を築いた。3代目教主ショウギー・エフェンディーの時代になって,同教の中心はハイファに移され,今日に至るまで活発な布教活動が続けられているが,教祖の生国イランでは異端視され布教が禁じられている。バハーイー教はバーブ教の教義をさらに発展させたもので,すべての宗教の根源は一つであるとされ,人類の平和と統一を究極の目的とし,あらゆる偏見の除去,両性の平等,科学と宗教の調和が説かれ,諸宗教の要素を取り入れた普遍的新宗教になっている。教徒はバーブ教にならって19を聖なる数字とし,バーブ暦(1年は19ヵ月,1ヵ月は19日)に従って毎月1日に集合し,聖典を読み運営を協議する。アラー月(3月2-21日)は断食月とされ,飲酒は厳禁,1日3回の祈りが義務づけられ,収入には19%の宗教税が課せられる。教祖の著作《キターブ・アクダス》は同教の聖典である。
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百科事典マイペディア 「バハーイー教」の意味・わかりやすい解説

バハーイー教【バハーイーきょう】

19世紀前半,イランで起こったイスラム改革を唱えるバーブ教から派生した宗教。バーブ教の教祖セイエド・アリー・モハンマド〔1820-1850〕はシーア派の再興と既成の宗教儀礼の廃止,階級的差別の撤廃を目標に宗教改革運動を起こし,弾圧,投獄された。その弟子ミールザー・ホセイン・アリー〔1817-1892〕らはバグダッドにのがれて布教を続け,バハー・アッラーフ(神が現し給う者)と称して新教団を創設,のちパレスティナのハイファに本拠を移した。人類の平和と統一,男女平等,教育の普及,世界語の採用などを主張し,イスラムとは質的に変化したが,イラン,インド,欧米などに多くの信徒(約200万人)を獲得している。
→関連項目トービー

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「バハーイー教」の解説

バハーイー教(バハーイーきょう)
Bahā'ī

バーブ教から発展した新宗教。教祖はバーブ教祖の弟子ミールザー・フサイン・アリー・バハー・アッラー(1817~92)。バーブ教の弾圧の際捕えられ,その間にみずから新時代の預言者たることを宣言。教義は近代思想の影響を受けているが,霊魂不滅説を根本とする。男女平等,教育普及,世界語採用などを主張。パフラヴィー朝で公認。イラン,インドに信徒が多い。

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