バハー・アッラーフと名のったイラン人ミールザー・ホセイン・アリーMīrzā Ḥoseyn `Alī(1817-92)がはじめた宗教。彼はテヘランの名家に生まれ,1844年セイエド・アリー・モハンマドのバーブの宣言後に初期のバーブ教徒になって指導的役割を果たしたが,52年の大弾圧で逮捕,投獄された。その後家族とともに国外に追放され,63年にバグダード近郊においてバーブが予言した〈神が現し給う者〉であると宣言し,それからまもなく新宗教の布教を始めてバーブ教から離脱し,バーブ教徒の大半は新宗教を受け入れた。オスマン帝国政府によりイラク,トルコから追放された彼は,68年にパレスティナのアッカー(アッコ)に達し,ここを新宗教の根拠地と定め,布教・執筆活動に努めた。彼は各国の指導者に手紙を送って新宗教の支持を訴え,死後2年で早くもアメリカに最初のバハーイー教徒の組織が形成された。長子アッバース・エフェンディー‘Abbās Efendī(1844-1920)は父の後を継ぎ,1910年代に欧米に布教の旅を続けて大きな成果を挙げ,同地域におけるバハーイー教の基礎を築いた。3代目教主ショウギー・エフェンディーの時代になって,同教の中心はハイファに移され,今日に至るまで活発な布教活動が続けられているが,教祖の生国イランでは異端視され布教が禁じられている。バハーイー教はバーブ教の教義をさらに発展させたもので,すべての宗教の根源は一つであるとされ,人類の平和と統一を究極の目的とし,あらゆる偏見の除去,両性の平等,科学と宗教の調和が説かれ,諸宗教の要素を取り入れた普遍的新宗教になっている。教徒はバーブ教にならって19を聖なる数字とし,バーブ暦(1年は19ヵ月,1ヵ月は19日)に従って毎月1日に集合し,聖典を読み運営を協議する。アラー月(3月2-21日)は断食月とされ,飲酒は厳禁,1日3回の祈りが義務づけられ,収入には19%の宗教税が課せられる。教祖の著作《キターブ・アクダス》は同教の聖典である。
執筆者:黒柳 恒男
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バーブ教から発展した新宗教。教祖はバーブ教祖の弟子ミールザー・フサイン・アリー・バハー・アッラー(1817~92)。バーブ教の弾圧の際捕えられ,その間にみずから新時代の預言者たることを宣言。教義は近代思想の影響を受けているが,霊魂不滅説を根本とする。男女平等,教育普及,世界語採用などを主張。パフラヴィー朝で公認。イラン,インドに信徒が多い。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
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