日本大百科全書(ニッポニカ) 「カリグラフィー」の意味・わかりやすい解説
カリグラフィー
かりぐらふぃー
calligraphy
書、書法のこと。通常は、なんらかの美的様式をもった書法をさす。ヨーロッパでは、7、8世紀ころのアイルランドの写本、さらにカロリング朝写本、その後中世の写本において徐々に体系化され、16、17世紀に印刷術にとってかわられるまで展開をみせた。また、イスラムの写本にも優れたものがある。中国では、書そのものがすでに9世紀以来絵画と同等の美術品とされ、日本にも伝えられ独自の発展を遂げた。こうした書そのものをさす以外に、現代美術においては、第二次世界大戦後の抽象表現主義の画家たちが日本および中国の書(前衛書道まで含めて)に関心を抱いて影響を受けたことがあるため、抽象表現主義の絵画の描法についてこの語が用いられることが多い。
[千葉成夫]