ドンナー(その他表記)Georg Raphael Donner

改訂新版 世界大百科事典 「ドンナー」の意味・わかりやすい解説

ドンナー
Georg Raphael Donner
生没年:1693-1741

オーストリア彫刻家。ニーダーエスタライヒのエスリングEsslingに生まれ,ウィーンでベネチア出身の彫刻家ジュリアーニG.Giulianiに学び,ザルツブルクプレスブルク(現,ブラティスラバ),次いでウィーンで活動し,同地で没。オーストリア・バロック彫刻の代表者であるが,仰々しさを避けた端正な表現は新古典主義を予告しており,しかも柔らかな質感特色とする鉛を好んで用いて新古典主義の冷たさ,固さとも無縁の独自の作品を作り出している。代表作は,ウィーンのメールマルクト(現,ノイアー・マルクト)の噴水を飾る彫刻(1737-39。現在はウィーン,バロック美術館蔵)。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ドンナー」の意味・わかりやすい解説

ドンナー
どんなー
Georg Raphael Donner
(1693―1741)

オーストリアの彫刻家。エスリンゲン生まれ。ウィーンで修業したのち、1714~15年ごろイタリアへ旅行する。20年代はザルツブルクの造幣局で鋳貨の仕事に携わり、28年にプレスブルクに招かれて38年まで同地の聖堂や祭壇制作に従事する。この間に制作した『聖マルティン像』(1732)、およびウィーンに帰ってからのノイマルクト広場の泉水(1739)は代表作として知られる。作品には明晰(めいせき)な構造化への意図が認められ、この点で彼はバロック様式に対立する冷静な古典主義の先駆者と評価されている。ウィーンに没。

[野村太郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ドンナー」の意味・わかりやすい解説

ドンナー
Donner, Georg Raphael

[生]1693.5.24. エスリンゲン
[没]1741.2.15. ウィーン
オーストリアの彫刻家。 1706年頃ウィーンに出てウィーン・アカデミーに学び,15年頃イタリアを旅行しミケランジェロの作品から影響を受けた。 25~28年ザルツブルク,28~38年プレスブルク (ブラチスラバ) ,39年以後ウィーンで制作。作風はバロック風であるが古典主義的要素も取入れている。代表作『聖マルティンの群像』 (1732,プレスブルク大聖堂) 。

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