日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナツグミ」の意味・わかりやすい解説
ナツグミ
なつぐみ / 夏茱萸
[学] Elaeagnus multiflora Thunb.
グミ科(APG分類:グミ科)の落葉小高木、まれに大木もある。小枝は赤褐色を帯びる。葉は倒卵状楕円(だえん)形、下面は銀色の鱗状毛(りんじょうもう)に覆われ、褐色の鱗片を散生する。4~5月、葉腋(ようえき)に少数の花が集まって開く。萼(がく)は外面は銀色の鱗状毛に覆われ、筒部は4稜(りょう)を帯びた円筒形で、基部は急に狭まって子房に移る。裂片は大きく、扁卵(へんらん)形で急にとがり、下半部の幅がもっとも広い。果実は長楕円形で大きく、5~6月に赤く熟し、細長い果柄で垂れ下がる。青森県から近畿地方南部まで分布。変種トウグミは若葉の表面に星状毛があり、果実を食用にするため広く栽培される。野生地は北海道南西部、東北、北陸、愛知県から近畿地方に及ぶ。
[籾山泰一 2019年11月20日]