日本大百科全書(ニッポニカ) 「ニオイバンマツリ」の意味・わかりやすい解説
ニオイバンマツリ
においばんまつり / 匂蕃茉莉
[学] Brunfelsia australis Benth.
ナス科(APG分類:ナス科)バンマツリ属の半耐寒性常緑低木。アルゼンチン、パラグアイ、ブラジル南部原産。高さ3メートル前後、葉は広楕円(こうだえん)形から卵形で、長さ4~13センチメートル、先は鋭くとがるかまたは円形。3~7月、径3~4センチメートルの高坏(たかつき)形の5弁花を1~3花つける。花は紫色で中心に白目が入り、数日後に白花に変化し、2色の咲き分けにみえ、花に強い芳香がある。かつて、本種によく似ているラティフォーリアB. latifolia Benth.にニオイバンマツリの和名をあてていたが、近年の研究結果によってラティフォーリアの花には香りがないことが判明し、オーストラリスをニオイバンマツリとよぶことになった。このほかに、バンマツリ属では次の各種がよく栽培される。バンマツリB. uniflora D.Donはブラジル、西インド諸島原産。高さは30センチメートルでよく分枝する。多花性で、花径は2~3センチメートル。初め淡紫青色で、のちに白色に変わる。オオバンマツリB. calycina Benth.はブラジル原産。高さ60センチメートル、花は径5センチメートルと大輪で、花弁は波状。濃紫色に咲き出し、やがて淡紫色から白色に近づき、ほとんど一年中咲き続ける。オオバンマツリの変種マクランタvar. macrantha Raffillはペルー原産。花は径5~7センチメートルと大輪の濃紫色で、のちに淡紫色となる。生育は旺盛(おうせい)である。ほかにアメリカバンマツリB. americana L.が栽培されている。各種とも性質はじょうぶで、暖地では露地でも越冬する。一般に鉢植えにして観賞する。
[植村猶行 2021年7月16日]