改訂新版 世界大百科事典 「ヌエット」の意味・わかりやすい解説
ヌエット
Frederic-Ange Noël Nouët
生没年:1885-1969
フランスの詩人,学者。ブルターニュ地方に生まれる。書店に勤めながら詩集《木の葉ごしの星Les étoiles entre les feuilles》(1910)で文壇に登場し,翌年《無限を求める心》を出版,詩人として認められる。1926年静岡高校にフランス語教員として招かれ,一度帰国したが再度来日。69年まで東京大学,東京外国語大学,学習院,日仏学院,アテネ・フランセ等で多くの学生を育て敬愛された。東京の旧市街を愛したヌエットは,市街を広く散策して多くのスケッチを残すとともに,《東京の歴史》,仏文小説《愛は神ならず》を著した。1955年には勲四等瑞宝章をうけ,57年《ゴンクールと日本美術》を東大に提出して文学博士となった。62年帰国し,パリで没した。
執筆者:松原 秀一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報