アフリカ中央部,チャド共和国の首都。1973年まではフォール・ラミーFort Lamyといった。人口61万(2003)。国の南西部を流れるシャリ川に臨む河港で,隊商路などによってナイジェリア,中央アフリカ,スーダンなどに通じる陸路の要衝であり,国際空港もある。家畜,塩,ナツメヤシ,穀物などの集散地で,皮革工業や食品加工などの工業が盛んである。伝統的な土着住民は広大な周辺地域からの移住者であるため,多種多様な部族で構成され,共通語としてアラビア語を用いた。町は1900年にフランス軍によって建設されたが,イスラム勢力の抵抗が激しかったため要塞の形がとられ,フランスの探検家ラミー将軍の名にちなんで,フォール・ラミー(ラミー城塞)と名付けられた。03-14年の間は反フランス的なイスラム諸勢力を武力鎮圧するための作戦基地としての役割が,植民地の政治的中心の機能より重視された。チャドが60年に独立してからはその首都となったが,その後も73年まではフランス軍が駐留していた。
執筆者:西野 照太郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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