知恵蔵 「ネパール地震」の解説
ネパール地震
米地質調査所(USGS)によると、震源は首都カトマンズの北西約80キロ付近、震源の深さは約15キロ。北海道大学のチームの推計では、カトマンズ周辺の揺れは、震度6弱から5弱相当だった。ネパール国内では約29万棟の住宅や約6000棟の学校が倒壊し、カトマンズ近郊の歴史的建造物の約75%が破損したとされる。世界遺産の90%が損壊・壊滅したとの情報もある。現地は、れんが積みの揺れに弱い構造の建物が多く、地震の揺れで倒壊して多数の人的被害につながったとみられる。また、エベレストでは、登山者らのベースキャンプで地震の影響とみられる雪崩が発生し、日本人1人を含む多くの死者・行方不明者を出した。余震と見られる地震も相次ぎ、5月12日にはネパール東部でマグニチュード7.3の地震が起きている。
地震の発生直後から、隣国のインドや中国を始めとする国際的な支援の輪が広がった。日本からも、政府の国際緊急援助隊やNGOなどが現地入りし、救助や医療支援などを行った。
ネパール周辺は、インド・オーストラリアプレートがユーラシアプレートの下に沈み込んでひずみがたまり、地震が起きやすい。1934年にはマグニチュード8を超える地震で約1万人、88年には同6.6の地震で約1000人以上の死者を出している。
(原田英美 ライター/2015年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報