他人の行為を介在させずに権利の客体を直接に支配する権利の総称。たとえば、物権(所有権・地上権など)、無体財産権(特許権・著作権など)、人格権、親権などは支配権に属するといわれる。権利をその主たる作用から分類した場合の概念で、請求権、形成権などと並べられる。支配権は客体を直接支配することのできる権利であるから、その妨害に対しては除去を請求(妨害排除請求)することができ、また、その侵害に対しては不法行為責任(損害賠償責任)を追及することができる。これらの点では、支配権を私権の一類型としてとらえる意味はあるが、それ以上に権利の性質や効力を考える場合には、支配権に属するとされる個々の権利ごとにとらえる必要がある。
[淡路剛久]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…営業主たる商人に代わって営業主の営業に関するいっさいの裁判上または裁判外の行為をなす権限を有する商業使用人(商法38条1項)。支配人のもつ包括的な代理権を支配権という。現実に支配人という名称を使っていることは必要でなく,店長・支店長などさまざまな名称が用いられている。…
…古来,財産権は,ローマ法においても,アングロ・サクソン法においても,〈物に対する権利〉と〈人に対する権利〉というふうに分類されてきた。しかし,近代においては,このほかに人間の知能による無体の価値に対する支配権としての無体財産権(特許権,著作権,商標権等)を生み出したので,新たな財産権の領域が加わったといえよう。
[物権の排他性]
物権が対世的な支配権であるという本質から,物権は排他性を有するといわれる。…
※「支配権」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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