改訂新版 世界大百科事典 「はくちょう座61番星」の意味・わかりやすい解説
はくちょう(白鳥)座61番星 (はくちょうざろくじゅういちばんせい)
Cygnus 61
実視連星で,84天文単位離れて,太陽の半分程度の質量をもつ赤色矮星どうしが約750年周期で公転している。はくちょう座61番星は,1792年当時から注目されていた。イタリアのG.ピアッチは,その固有運動が1年間に5.22秒もあることをつきとめていた。このため,近距離にあると見たF.W.ベッセルは,1838年三角視差を測定し距離を算出した。さらに,不可視な第3番目の天体の存在がわかった。上記連星はそれぞれ61番A,Bと呼ばれるが,このCは木星の8倍くらいの質量しかなく,Aのまわりを4.8年周期で回っている。61番星の概略位置は赤経21h7m,赤緯+38°45′。午後9時の南中は9月下旬。スペクトル型は61番AがK5,61番BがK7。実視等級は,61番Aが5.2等,Bが6.0等。距離は11.1光年。
執筆者:山田 陽志郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報