改訂新版 世界大百科事典 「ハナトラノオ」の意味・わかりやすい解説
ハナトラノオ
Virginia false dragonhead
Physostegia virginiana Benth.
シソ科の多年草。北アメリカ原産で,日本へは大正年間(1912-26)に渡来したが急速に普及し,ときに野生状態になっている所もある。別名カクトラノオといい,桃色や白色花の品種もある。根茎をはわせながら繁殖し,四稜形の茎を直立させ7~9月ごろ茎上に,藤桃色唇形花を総状花序をなして密につづる。ときに円錐状に分枝することもある。葉は鋸歯縁の披針形。花色にかなり濃淡がある。耐寒性であるが,冬期は茎葉は枯れ,宿根する。性質はきわめて強く,日当り,排水のよいところならばよく育つ。植え時は3~4月。株分けにより殖やし,20~30cm間隔に定植する。庭園に群植すると美しいが,夏の切花としてもよく利用され,鉢作りにしても楽しめる。
執筆者:柳 宗民
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報