ハブ空港(読み)はぶくうこう(英語表記)hub airport

翻訳|hub airport

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハブ空港」の意味・わかりやすい解説

ハブ空港
はぶくうこう
hub airport

航空機の乗り継ぎの拠点となる空港のことで、航空路線ネットワークのあり方を自転車の車輪に見立てて表現したもの。自転車の車輪において、軸受け(ハブ)からスポーク放射状に延びているように、ハブ空港から放射状に路線を展開することをハブ・アンド・スポークシステムという。

 国内線の路線ネットワークでも用いられる用語であるが、主として国際線において重要視される観点であり、自国の空港を国際的なハブ空港として位置づけるべく国際間競争が生じている。国際ハブ空港となるためには24時間運用は必須であり、長大な滑走路を多く保有していることが条件となる。そうした空港としては、長年名声を得てきたシンガポールチャンギ国際空港に加え、近年はその地政学的優位性もあり、アラブ首長国連邦ドバイ国際空港カタールハマド国際空港新ドーハ国際空港)など、中東の空港が台頭、注目されている。

[戸崎 肇 2023年4月20日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハブ空港」の意味・わかりやすい解説

ハブ空港
ハブくうこう
hub airport

車輪の中心のハブにスポークが集まっているように,さまざまな地域からの航空路が1ヵ所に集まり,人や物がそれぞれの目的地に向かって乗り換えや積み替えできるような拠点空港をいう。元来はフェデラル・エクスプレス航空の貨物の積み替えシステムから始まったものだが,旅客輸送にも応用されるようになった。このような拠点空港を中心とする航空路線網を「ハブ・アンド・スポーク・システム」 hub and spoke systemと呼び,1980年代後半から大手航空会社の多くが輸送効率を高める手段として採用し,世界中に普及した。しかし貨物輸送には適するが,旅客立場からすれば目的地に直接飛ぶことができず,いったんハブ空港で乗り換えなければならないなど,時間がかかって不便という不満も出てきた。さらに旅客機自体も航続距離が伸びて,国際長距離便も途中で燃料補給をすることなく直接目的地へ飛べるようになり,中型長距離旅客機による「ポイント・トゥー・ポイント」 point to pointの路線も増える傾向にある。

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