エチオピア高原(読み)えちおぴあこうげん(英語表記)Ethiopia Plateau

日本大百科全書(ニッポニカ) 「エチオピア高原」の意味・わかりやすい解説

エチオピア高原
えちおぴあこうげん
Ethiopia Plateau

アフリカ大陸北東部エチオピアの主要部を構成する高原。従来アラビア語のEl Habeshaに由来するアビシニア高原とよばれていたが、現在はアムハラ語のItyopyaの名称が用いられている。エチオピア全土の約42%を占め、紅海からケニアへ続くアフリカ大地溝帯によって、北西部と南東部の二つの地域に分けられる。高原面は一般に標高千数百メートルから3000メートルにあるが、北西高原の中部北部には4000メートルを超える山地が広がり、なかでもラス・ダシャン山は4533メートルに達する。エチオピア高原の主部は第三紀に噴出した溶岩で構成されており、北西高原の青ナイル川の源流部にあたるタナ湖周辺は溶岩が厚い。北西高原の北部や西部、南東高原南部のように溶岩が薄い地域では高原の侵食も進み、溶岩の下位にある片岩や花崗(かこう)岩類などの基盤岩類が露出している。気候資料は少ないが、気温は地方差が大きい。年平均気温は16~20℃で、一部は14℃以下である。高原上の年降水量は700ミリメートルから1000ミリメートルを超える。集落と農耕地が集中するのは標高2000~3000メートルの平坦(へいたん)部の広い高原面で、森地は人為的影響で後退し草原化している。このために土壌侵食も顕著で、毎年1平方キロメートル当り2000トン以上の土砂が流亡している。

[堀 信行

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エチオピア高原」の意味・わかりやすい解説

エチオピア高原
エチオピアこうげん
Ethiopian Plateau

エチオピア西半部の大部分と東部の一部にかけて広がる広大な山岳高原地域の総称。アムハラ高原とも呼ばれる。約 5億年前の先カンブリア地塊(→先カンブリア時代)の上を石灰岩砂岩,さらに玄武岩を主とする火山岩が覆い,一部は 2000m以上の厚さに達する。火山活動は今日でも一部に残存,各地に温泉もある。アフリカ大地溝帯グレートリフトバレー)が高原を東部と西部に二分,西部高原は標高 2500~3500mで,最高峰はラスダシャン山(4533m)。最も広い高原はアジスアベバのあるショア高原(→ショア)。全体として西に傾斜し,川はほとんどナイル水系。東部高原のうち南部のバレ高原(→バレ)は平均標高 2700m以上。土壌は肥沃で草原が発達,森林は少ない。古来諸王国が繁栄,現代までその伝統が引き継がれ,人口の大部分が集中。南西部はコーヒーの原産地。地下資源は豊富と推定されるが開発が遅れている。

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