日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハルトラウプ」の意味・わかりやすい解説
ハルトラウプ
はるとらうぷ
Geno(veva) Hartlaub
(1915―2007)
ドイツの女流小説家。マンハイム生まれ。ナチスに追われたブレーメンの美術史家グスタフ・フリードリッヒ・ハルトラウプGustav Friedrich Hartlaub(1884―1963)の娘。現代を神話的雰囲気のなかに物語る心理小説『誘拐』(1942)、『サン・マルコの鳩(はと)』(1953)、『大きな車』(1954)、『月の渇き』(1963)などが代表作。ラジオドラマ作者、エッセイストとしても知られる。ベルリン大学で近代史を専攻し、総統大本営戦記係兵長時にベルリン陥落で行方不明となった兄フェーリクスFelix Hartlaub(1913―1945)の、表現主義風傑作とされる遺稿集(『下から眺めて』などを含む)を出版(1950)した。
[池井 望]
『城山良彦訳『下から眺めて』(1955・ダヴィッド社)』