日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハワイウツボ」の意味・わかりやすい解説
ハワイウツボ
はわいうつぼ / 布哇鱓
Y-patterned moray
Berndt's moray
[学] Gymnothorax berndti
硬骨魚綱ウナギ目ウツボ科に属する海水魚。静岡県、和歌山県、沖縄諸島、南シナ海など西太平洋、西インド洋、ハワイ諸島などに分布する。体は細長く、側扁(そくへん)する。尾部では後部ほどよく側扁する。頭は小さく、吻端(ふんたん)はとがる。吻長は頭長のおよそ5分の1。前鼻孔(ぜんびこう)は細長い鼻管を備え、吻端部の側面に位置する。後鼻孔に鼻管がなく、目の前縁の吻の背面に開く。口は大きく、上顎(じょうがく)は直線状で、上顎の眼後部の長さは眼径の2倍以上。下顎は中央部ですこしくぼみ、口を完全に閉じることができない。上下両顎歯は犬歯状で後方に傾き、主上顎骨に10~16本、下顎に16~24本が1列に並ぶ。前上顎骨(左右の主上顎骨の前端の間にあり、鋤骨(じょこつ)の前に位置する骨。間(かん)上顎骨、前上顎骨・篩骨(しこつ)などともいう)の外列歯は5~7本。鋤骨(頭蓋(とうがい)床の最前端にある骨)には1列に並ぶ9本以上の鋭い歯があるが、皮膚に隠れて見えづらい。背びれは鰓孔(さいこう)の上方のはるか前方から、臀(しり)びれは体の中央部のわずかに前方から始まり、両ひれはよく発達する。体は黄褐色の地に、茶褐色のおよそ33本の横帯が全面に発達する。各横帯は体の側面と腹面で分枝を出し、前後でつながる。さらに細かな分枝を出し、いろいろな大きさの網目模様を形成する。頭部には太い網目模様はない。背びれと臀びれの縁辺は黄白色。沿岸や沖合いの水深30~303メートルにすみ、底引網でとれることもある。最大全長は約1メートルに達する。オキノシマウツボに似るが、本種は体の横帯が一定の太さでなく、また規則的に並ばないこと、横帯は臀びれの基部でつながることなどで、オキノシマウツボと区別できる。
[尼岡邦夫 2019年11月20日]