ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バキエフ」の意味・わかりやすい解説
バキエフ
Bakiyev, Kurmanbek
クルマンベク・バキエフ。キルギスの政治家。首相(在任 2000~02),大統領(在任 2005~10)。1972年にロシア=ソビエト社会主義共和国のクイビシェフ工業大学を卒業後,1990年まで電気技師として働き,キルギス南部で官職を歴任した。1990年代後半にジャラルアバド州知事となり,その後,キルギス北部に移ってチュイ州知事を務めた。2000年12月,アスカル・アカエフ大統領により首相に任命されたが,2002年5月に解任された。2002年10月,国民議会下院議員に選出され,地域の利益を重視する中道派グループに参加。2004年9月,新たに野党キルギス国民運動を結成して党首となった。約 6ヵ月後,政治腐敗や国政選挙での不正に抗議するデモが各地で発生し,2005年3月,アカエフ大統領とニコライ・タナエフ首相は国外へ逃亡,バキエフは暫定大統領に就任した。この一連の抗議運動と,その後のバキエフによる権力掌握は「チューリップ革命」と呼ばれる。大統領在任期間が長くなるにつれ,野党指導者たちはバキエフが反対派への脅迫や締めつけを行なっていると非難,2010年初めには,バキエフの独裁的な政策や汚職に抗議する国民の暴動が発生した。同年 4月7日,政府は非常事態宣言を発令したが,4月15日にバキエフはキルギスを出国し,国政は野党主導の暫定政権の手に渡った。バキエフはベラルーシで政治亡命を認められ,2013年にキルギスでの欠席裁判で権力濫用を理由に有罪となり,懲役 24年の刑が言い渡された。
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