改訂新版 世界大百科事典 「バショウカジキ」の意味・わかりやすい解説
バショウカジキ
sail fish
Istiophorus platypterus
スズキ目マカジキ科の海産魚。名はバショウの葉に似た大きな背びれをもつことに由来する。英名は背びれを水面に立てて泳ぐ様が帆掛船を連想させることによる。熱帯から亜熱帯の海域に広く分布し,カジキ類ではもっとも岸近くに姿を現す。西部太平洋では日本近海から台湾,フィリピン,ニューギニアなどの島寄りの海域に生息し,産卵もこの海域で行われる。全長2m以上,体重60kgに達する。剣のように突出した上あごをもち,背びれが体高の1倍半もあるのが特徴。台湾近海での産卵期は4~8月で,雄は雌を追尾するといわれる。数尾が小魚の群れを囲んで大きな背びれを立てて威嚇しながら泳ぎの輪を縮め,長いくちばしで小魚を打ち倒して食べる習性がある。マグロはえなわで漁獲される。肉はマカジキより赤みが濃く,味は落ちるとされ,刺身以外に魚肉ソーセージの原料にされる。
→カジキ
執筆者:谷内 透
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報