改訂新版 世界大百科事典 「ばら積船」の意味・わかりやすい解説
ばら積船 (ばらづみせん)
bulk carrier
バルクキャリアともいう。穀物,石炭,鉱石,木材などをばら積みして運搬する貨物船。穀物はかつては一般貨物船で運ばれていたが,第2次世界大戦後輸送量が増大したため,穀物を主として効率よく運ぶことを目的としたこの種の船が出現した。したがって本来穀物運搬が主体であるが,船の経済的な運用のため穀物のほかに石炭,鉱石,木材,鋼材などを積むことも多く,最近ではコンテナーも積めるようにしている船が増えている。なお,石炭,鉱石などをばら積みして専用に運ぶ船は,ばら積船の一種ではあるが船倉の形状が違うため,それぞれ石炭専用船,鉱石運搬船と呼ばれ区別される。ばら積船の船倉は中央部にあり,前後に三つから七つに仕切られている。断面は穀類と天井との間に空所ができて荷崩れが起きないよう,水平に対して30度の傾斜をした底をもつ三角形断面のタンク(トップサイドタンク)を上部両側に設け,また船倉の底は荷物を中央に集めやすくするための45~50度の傾斜側底板を両側にもった二重底構造をしている。倉内には構造部材を極力出さず,残荷が出ないようにしている。上甲板には荷役のために大きな鋼製ハッチと,どんな港へいっても荷役ができるよう,クレーンなどの荷役装置をもっているが,6万トン程度以上の船はある程度入港する港が決まってくるので,クレーンをもたないことが多い。トップサイドタンクと二重底は,水を入れてバラストタンクとして使う。
執筆者:坂本 和哉
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報