バリアフリー法(読み)ばりあふりーほう

共同通信ニュース用語解説 「バリアフリー法」の解説

バリアフリー法

建物を対象とする「ハートビル法」、鉄道バスといった公共交通機関を対象とする「交通バリアフリー法」を統合、2006年に施行された。建物は、床面積2千平方メートル以上の店舗、病院、ホテル、老人ホームなどを対象に、新築、増改築時に最低限守るべき義務基準を設定。具体的には、廊下幅は車いすの利用者が人とすれ違えるよう120センチ以上とし、車いす用トイレは建物に一つ以上などとしている。床面積を引き下げるなど、自治体条例で義務付け対象を広げることもできる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「バリアフリー法」の意味・わかりやすい解説

バリアフリー法
ばりあふりーほう

障害者や高齢者らの移動・利用の利便性や安全性を向上するため、公共交通機関や公共施設などのバリアフリー化を推進する法律。正式名称は「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(平成18年法律第91号)。病院、百貨店、ホテルなどを対象としたハートビル法(正称「高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律」平成6年法律第44号)と公共交通機関を対象とした交通バリアフリー法(正称「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律」平成12年法律第68号)を一本化し、2006年(平成18)に施行された。国は基本方針を定め、エレベータースロープ通路手すり点字ブロックなどの整備に関する数値基準(移動円滑化基準)を公表。床面積2000平方メートル以上(公衆トイレは50平方メートル以上)の学校、病院、老人ホーム、百貨店、ホテル、官公署、公衆トイレなどの特別特定建築物については、新築や増築等の際に数値基準に適合するバリアフリー化を義務づけ、既存施設にもバリアフリー化の努力義務を課した。1日の利用者が3000人以上の公共交通機関の駅・ターミナル・車両についても義務化し、1日2000人以上の地方鉄道などについても順次整備する。地方自治体は高齢者や障害者の利用頻度が高い地域を「重点整備地区」に指定し、道路、都市公園、駐車場、駅前広場などを含め、街全体を一体的にバリアフリー化する。自治体の命令に従わない事業者には、300万円以下の罰金を科す。東京都など自治体によっては、バリアフリー化対象をバリアフリー法より広げた条例を定めている。2021年(令和3)には改正バリアフリー法が施行され、第32回オリンピック・パラリンピック東京大会を契機として共生社会を実現するため、公共交通事業者に対し車椅子(いす)やスロープ板の適切な操作と、視覚障害者が見やすい照明の明るさの確保を義務化したほか、優先席・車椅子使用者用駐車施設・障害者用トイレの適正利用、障害者と健常者の相互理解の醸成、学校と連携したバリアフリー教育・啓発活動などに取り組むこととした。

[矢野 武 2021年9月17日]

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