改訂新版 世界大百科事典 「パホン」の意味・わかりやすい解説
パホン
Phraya Phahon Phonphayuhasena
生没年:1888-1947
タイの軍人政治家。本名はポット・パホンヨーティン。軍人の家系に生まれ,士官学校卒業後の1904年から足かけ10年間ドイツ,デンマークで軍事学を学ぶ。1919-21年には日本に留学,西郷隆盛に傾倒したという。若手将校の間で人望があつく,絶対王制打倒を目標とする文武の少壮官僚を中心とした秘密政治集団〈人民党〉の首領に推された。非凡な指導力のもとに32年6月の立憲革命(人民党革命とも呼ぶ)を成功させた。33年6月から38年まで首相として,派閥抗争の絶えない人民党をまとめるとともに,立憲制のタイへの定着に貢献し,〈タイ立憲制の父〉と呼ばれた。謙虚で無欲な人柄と終生の清貧な生活は,汚職で私腹を肥やす政治家が圧倒的に多い中で異色の存在として国民に親しまれた。現役引退後もその功績により元老の称号を受けた。なお,42年に訪日友好タイ特別使節団長として来日している。
執筆者:赤木 攻
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報