パーネル(読み)ぱーねる(英語表記)Charles Stewart Parnell

日本大百科全書(ニッポニカ) 「パーネル」の意味・わかりやすい解説

パーネル
ぱーねる
Charles Stewart Parnell
(1846―1891)

アイルランド自治運動の指導者。ウィクロウ州エイボンデールの旧家に生まれる。プロテスタント。ケンブリッジ大学卒業後、政界に入り強力な議事妨害戦術を展開して有名になり、1877年バットIssac Butt(1813―1879)を継いで自治運動の指導者になった。一方、1879年には土地同盟議長に選ばれ、自治問題と土地問題の両面からアイルランド問題の解決をイギリスに迫った。グラッドストーンの土地法や自治法案は、彼の活動に負うところが大きい。しかし1890年、同僚国民党議員の妻との不義が明るみに出て、国民党の分裂をもたらし、翌1891年の選挙に敗れて引退した。

[堀越 智]

『P・B・エリス著、堀越智・岩見寿子共訳『アイルランド史―民族と階級』上下(1991・論創社)』『S・マコール著、小野修編、大渕敦子・山奥景子訳『アイルランド史入門』(1996・明石書店)』『上野格著「アイルランド」(松浦高嶺著『イギリス現代史』所収1992・山川出版社)』『松尾太郎著『アイルランド民族のロマンと反逆』(1994・論創社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パーネル」の意味・わかりやすい解説

パーネル
Parnell, Charles Stewart

[生]1846.6.27. ウィックロー,アボンデール
[没]1891.10.6. サセックス,ブライトン
アイルランドの政治家。ケンブリッジ大学に学び,1875年からイギリス下院議員となり,アイルランドの自治の合法的獲得を目指した。 79年土地同盟の会長となり,アイルランドの小作人の土地所有のための 3F運動 (小作権の安定 fixity of tenure,公正な地代 fair rent,小作売買の自由 free sale) を展開。土地同盟は自治協会と合同して自治党 (のちの国民党) となったが,自治党議員のリーダーとして活躍,アイルランド側の要求に注意を向けさせるために,議事妨害,過激な演説を行い,81年には禁錮刑に処せられたが,イギリス議会の保守,自由両党の対立を巧みに利用して自治法案の成立に尽力した。 90年同法案の成立直前に,友人 W.オーシェーの夫人との私通の疑いで信用を失い,自治党の分裂を招いた。翌年離婚したオーシェー夫人と結婚したが,政界からは失脚した。

パーネル
Parnell, Thomas

[生]1679
[没]1718
アイルランド生れのイギリスの詩人聖職者スウィフトポープの友人。詩集死後 1722年にポープの編集で出版された。また 70年にはゴールドスミスの筆になる伝記が付された。最も有名な詩篇は『死に寄せる夜の断想』 Night Piece on Death,『隠者』 The Hermit。

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