小作権(読み)こさくけん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「小作権」の解説

小作権
こさくけん

民法上は物権たる永小作権債権たる賃借小作権に分れる。日本の農業上前者の数は少く,後者がほとんどである。民法上,賃借小作権は他の契約による債権と等しく,対抗力をもたず,その移転に所有権者の同意を要し (612条) ,一定の場合,所有権者の一方的契約解除による小作地の取上げなどの性質有し,小作権者の立場は強いものではない。このため,明治以降,小作問題の解決がはかられるなかで,1938年の農地調整法によって賃借小作権の対抗力が認められ (8条) ,地主小作契約解除も制限されるにいたった (9条) 。現在の農地法ではこれを強化して受継ぎ,対抗力を付与することはもちろん (18条) ,小作契約の解除も,所有権者が自作を相当とする場合など正当な事由があると認められ,都道府県知事が許可した場合に限っている (20条) 。しかし,それ以外の賃借小作権の性質には民法上の契約,債権の性質をとどめている。また,小作権の設定,移転には,都道府県知事の許可,または市町村農業委員会の承認を必要とする (農地法3) 。

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精選版 日本国語大辞典「小作権」の解説

こさく‐けん【小作権】

〘名〙 小作料を支払って他人の土地で耕作または養畜の事業を行なう権利。民法上、物権である永小作権と、債権である賃借権とに分かれるが、後者が一般的。近世の小作慣行では、普通小作や苅分小作にもこの権利はあったが、永代(世)小作、永代作、永代卸(おろし)、定卸、世襲小作などと呼ばれる「永小作」の方が農地に対する小作人の権利が強く、これを一般に永小作株と称したが、地方により上土(うわつち)権、小作株、作株、鍬先(くわさき)権などともいった。
不在地主(1929)〈小林多喜二〉四「小作権を坪幾何の割で買取ってもいいと」

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百科事典マイペディア「小作権」の解説

小作権【こさくけん】

小作料を支払って他人の農地を耕作する権利。永小作権と賃借小作権があるが,実際には後者が一般である。賃借小作権は地主の土地取上げや新たにその土地を取得した第三者に対抗する力がなく小作人は弱い立場にあったが,第2次大戦後の農地改革により小作農はほぼ消滅,圧倒的多数が自作農に転化した。現在では農地法(1952年)によって保護されている。→小作制度
→関連項目耕作権

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デジタル大辞泉「小作権」の解説

こさく‐けん【小作権】

小作人が小作地を耕作する権利。物権永小作権と、債権の賃借小作権とがある。→耕作権

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日本大百科全書(ニッポニカ)「小作権」の解説

小作権
こさくけん

耕作権

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世界大百科事典内の小作権の言及

【耕作権】より

…一般には耕作者が土地を耕作するための権利をいう。そのうち小作人が地主の土地を賃借して耕作する場合,小作人の権利を小作権と称する。日本では,明治以降,戦後の農地改革にいたるまで,農業生産の基本的手段である土地の所有をめぐって地主・小作の関係が顕著に展開した。…

※「小作権」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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