日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒゲナガゾウムシ」の意味・わかりやすい解説
ヒゲナガゾウムシ
ひげながぞうむし / 長角象虫
fungus weevil
昆虫綱甲虫目ヒゲナガゾウムシ科Anthribidaeに属する昆虫の総称。世界各地に産し、約2600種が知られているが、熱帯域に多く、とくにインド、マレー半島に豊富である。日本産は百数十種が記録されている。ゾウムシ類に似た甲虫で近縁であるが、口吻(こうふん)が幅広く、触角が膝(ひざ)状に屈曲しないことなどで異なり、前胸背面の後方に横隆起線があり、両端で前方へ曲がり側部に沿って伸びるのも特徴である。体長は1ミリ前後から30ミリに達するものまであり、形は円筒形から背面の平たいもの、楕円(だえん)形から卵形、ひょうたん形のものなどあるが、厚みがある。体色は、普通、黒色から赤褐または黄褐色であるが、背面には鱗毛(りんもう)によって白、黄、淡赤、黒、褐色などの斑紋(はんもん)がある。一般に枯れ木、倒木またはキノコに集まるが、植物の実につくウシヅラヒゲナガゾウムシ、ワタミヒゲナガゾウムシのようなものもあり、またカイガラムシに寄生するタマカイガラヒゲナガゾウムシなどもある。幼虫は白くて肉質である。
[中根猛彦]