ヒナノカンザシ(読み)ひなのかんざし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒナノカンザシ」の意味・わかりやすい解説

ヒナノカンザシ
ひなのかんざし / 雛簪
[学] Salomonia ciliata (L.) DC.
Salomonia oblongifolia DC.

ヒメハギ科(APG分類:ヒメハギ科)の一年草。全草繊細で、毛はない。茎は細く、隆起線があり、直立して高さ6~30センチメートル。葉は長楕円(ちょうだえん)形で長さ0.3~1.4センチメートル。下部の葉は広卵形で先は鋭くとがり、縁(へり)の上方にわずかに小さな刺(とげ)状の毛がある。上部の葉は披針(ひしん)形で長さ1.2センチメートル。8~9月、細長い穂状花序をつくり、長さ約2ミリメートルの淡紫色花を多数開く。萼片(がくへん)は5枚で披針形、内部の2枚はやや大きい。花弁は3枚、下部のものは竜骨状となり、一部は雄しべの筒と合生する。蒴果(さくか)は扁平(へんぺい)な腎臓(じんぞう)形で径2ミリメートル、縁に数個の刺状毛があり、毛はない。種子楕円形で径0.7ミリメートル、光沢はない。日当りのよい湿地に生え、日本、および東南アジアオーストラリアに分布する。名は、小さな果実をつけた果穂が小さなかんざしを思わせることによる。

[小林純子 2019年11月20日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヒナノカンザシ」の意味・わかりやすい解説

ヒナノカンザシ(雛の簪)
ヒナノカンザシ
Salomonia oblongifolia

ヒメハギ科の小さな一年草。日本の本州以南および東南アジア,インド,オーストラリアに分布し,日当りのよい湿地に生える。茎は細く直立し毛はなく高さ6~30cmになる。葉は柄がなく互生し,長さ5~8mmの長楕円形で全縁である。8~9月に,やせた穂状花序をなし,淡紫色の小花を多数つける。萼は披針形で5個,花弁は3個で下側のものは竜骨弁となって,その一部はおしべが癒着してつくる筒と合着する。 蒴果は径 2mmほどで数個のとげがある。

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