改訂新版 世界大百科事典 「ヒマラヤユキノシタ」の意味・わかりやすい解説
ヒマラヤユキノシタ
Bergenia×schmidtii Regel
ユキノシタ科の多年草。ヒマラヤ地方原産といわれていたが,雑種起源で,その両親についてははっきりしない。庭によく植えられる春咲き宿根草の一つで,花のほか,そのつややかな大きい葉も美しい。基部は太い根茎状となり,倒卵形の大きい常緑葉を茂らせ,葉質は厚手の濃緑色で,やや光沢がある。3~4月ころ,花茎を抽出し,分岐した円錐花序をなして桃色の花を密集して咲かせる。この仲間には,本種に似たものにシベリアユキノシタB.cordifolia (L.) A.Br.やベルゲニア・リグラータB.ligulata (Wall.) Engl.などの種類がある。とくに後者は酷似していてよく混同されるが,ヒマラヤユキノシタは萼片に微毛があり,花梗が長く伸びることで区別される。この仲間は耐寒性のきわめて高い宿根草で,庭植えに適するが,半陰地でよく育つ。鉢植えにし,フレームに入れておくと1月に開花する。タンニンを多く含み,このタンニンを製革時に使うことがあるという。
執筆者:柳 宗民
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報