改訂新版 世界大百科事典 「ヒメシジミ」の意味・わかりやすい解説
ヒメシジミ
Plebejus argus
鱗翅目シジミチョウ科の昆虫。小型で開張2.2~3.3cm。雄の翅の表面は青紫色で黒色の縁取りがあり,雌の表面はほぼ全面暗褐色で外縁部に橙色の斑紋列が現れる。裏面は雄では白色,雌ではやや褐色を帯び,ともに外縁部に橙色帯がある。ヨーロッパから中国北部を経て日本に分布し,日本では北海道,本州,九州(九重高原のみ)に見られる。北海道には広く分布するが,西に進むに従って山地性となり,分布は局部的となる。明るい山地草原にすみ,ときに湿原に発生することもある。年1回発生し,成虫は6~8月に出現するが,寒冷地では羽化期が遅れる。幼虫の食草はマメ科のイワオウギ,タイツリオウギ,キク科のマアザミ,ハバヤマボクチ,ヨモギなどのほか,キキョウ科,オオバコ科,タデ科,ユキノシタ科,ヤナギ科などにも及ぶ。卵で越冬する。近縁種には北海道と本州に分布するアサマシジミLycaeides subsolana,本州に分布するミヤマシジミL.argyrognomonがあり,いずれも外見はヒメシジミに似ている。
執筆者:高橋 真弓
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報