イワオウギ(読み)いわおうぎ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「イワオウギ」の意味・わかりやすい解説

イワオウギ
いわおうぎ / 岩黄耆
[学] Hedysarum vicioides Turcz.

マメ科(APG分類:マメ科)の多年草。別名タテヤマオウギ。茎は叢生(そうせい)してよく分枝し、高さ10~80センチメートル。葉は奇数羽状複葉、小葉は11~25枚、狭卵形で長さ1~2センチメートル。7~8月、茎上部の葉腋(ようえき)に有柄の総状花序を出し、10~30個の蝶形花(ちょうけいか)をつける。花は黄白色でやや下向きに開き、もっとも内側にある1対の竜骨弁が5花弁中もっとも大きい。節果は扁平(へんぺい)で1~4個の小節果からなり、上下の縫合線に沿い幅の不規則な翼をもつ。小節果は広楕円(こうだえん)形で、隆起する網状脈があり、熟すと節で分離して落下し、裂開しない。本州中部地方以北の高山に生え、北海道では山地から低地、ときに川原の砂礫地(されきち)にも生える。朝鮮、中国東北部、シベリア東部にも分布する。

[立石庸一 2019年10月18日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イワオウギ」の意味・わかりやすい解説

イワオウギ(岩黄耆)
イワオウギ
Hedysarum vicioides

マメ科の多年草。北海道から本州中部にかけての高山帯に生え,日本アルプスでは代表的な高山植物の一つである。太い根茎があり,地上茎は根もとからよく分枝して高さ 15~40cmほどに茂る。葉は羽状複葉で互生し,6~10対の細い小葉を対生する。夏に,葉腋と茎頂に長さ 10~15cmの花序を出し,10個前後の蝶形花 (→蝶形花冠 ) を横向きにつける。花冠はクリーム色でややピンクを帯びることもある。花後に平たく,くびれのある莢をつくり,中に3~4個の種子 (豆) を含む。

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