ヒュギヌス(英語表記)Gaius Julius Hyginus

改訂新版 世界大百科事典 「ヒュギヌス」の意味・わかりやすい解説

ヒュギヌス
Gaius Julius Hyginus

前1世紀後半,アウグストゥス帝治世下のローマ学者。生没年不詳。出身地はスペイン,あるいはエジプトアレクサンドリアとも伝えられる。アウグストゥスの解放奴隷で,パラティヌスの図書館長をつとめるかたわら,教育にも携わった。宗教歴史地理,農業に関する論文やウェルギリウスの注釈書など幅広い執筆活動を行ったが,現存するのは多数の断片だけである。生涯経済的に恵まれず,貧困のうちに死んだ。だが,死後も学者としてその名を広く知られ,後2世紀に編まれた天文学事典および神話学事典には編者として彼の名が冠せられた。詩人オウィディウスとは友人の関係にあり,オウィディウスが流刑地での作品《悲歌》第3巻14歌で呼びかけているのはこのヒュギヌスであると考えられている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヒュギヌス」の意味・わかりやすい解説

ヒュギヌス
Hyginus, Gaius Julius

[生]前64頃
[没]後17
ローマの学者。スペインあるいはアレクサンドリアの生まれ。アウグスツス帝の解放奴隷,オウィディウスの友人。パラチヌス図書館の初代館長。農学,文学,歴史,宗教に関する研究書があった。 220の神話を集めた『神話』 Fabulaeが彼の著作として現存するが,これは2世紀の別人編纂になるもの。

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