日本大百科全書(ニッポニカ) 「ビアリッツの密約」の意味・わかりやすい解説
ビアリッツの密約
びありっつのみつやく
1865年ビアリッツBiarritzにおいてプロイセン首相ビスマルクとフランス皇帝ナポレオン3世との間に結ばれた密約。ビアリッツは、フランス南西部、ビスケー湾岸、スペイン国境付近の小都市。このときビスマルクは、プロイセン・オーストリア戦争(1866)を成功させるために、ナポレオン3世に対して、戦後にライン川左岸の一定の地域を割譲する用意のあることをほのめかし、戦争の際のフランスの中立を約束させた。しかしビスマルクはこの約束を守らなかったので、ナポレオン3世の対ドイツ感情は悪化し、これがプロイセン・フランス戦争(1870~71)の一原因となった。
[矢田俊隆]