ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ビセンテ」の意味・わかりやすい解説
ビセンテ
Vicente, Gil
[没]1536頃.リスボン
ポルトガルの劇作家,詩人。マヌエル1世の宮廷付き金銀細工師,リスボン造幣所長をつとめた。 1502年王妃マリアの出産を祝う『牛飼いの独白』 Monólogo do Vaquero朗読を機に文学活動を開始,多くの戯曲を書いて宮廷で上演した。作品は息子のルイースによって編集された『ジル・ビセンテ全作品集』 Copilaçam de todalas obras de Gil Vicente (1562) に集められているが,痛烈な社会風刺,教会批判を含むと同時に深い宗教性,豊かな抒情性をたたえている。代表作,道徳劇『霊魂』 Auto da Alma (18) ,『地獄の船』 Auto da Barca do Inferno (17) をはじめとする「船」3部作,笑劇『インド』 Auto da Índia (09) ,『菜園の老人』 Farsa do Velho da Horta (12) ,『イネース・ペレイラ』 Farsa de Inês Pereira (23) ,『ベイラの判官』 Farsa do Juiz da Beira (25) など。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報