サントス(英語表記)Santos, Juan Manuel

デジタル大辞泉 「サントス」の意味・読み・例文・類語

サントス(Santos)

ブラジル南東部の港湾都市サンパウロの外港として発展。コーヒー積み出し港。海岸は保養地。日本人移住者の最初の入植地。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「サントス」の意味・読み・例文・類語

サントス

  1. 〘 名詞 〙 ( [ポルトガル語] santos サントの複数形 ) キリシタン用語。諸聖人。
    1. [初出の実例]「かたうりかにてましますさんたゑけれじゃさんとすみなつうようし玉ふ事」(出典:どちりなきりしたん(一六〇〇年版)(1600)六)

サントス

  1. ( Santos ) ブラジル南東部の大西洋岸にある港湾都市。サンパウロの外港で、ブラジル第一の貿易港。コーヒーの積出しは世界一。海岸は有名な海水浴場と保養地。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サントス」の意味・わかりやすい解説

サントス
Santos, Juan Manuel

[生]1951.8.10. ボゴタ
コロンビアの政治家。大統領(在任 2010~18)。フルネーム Juan Manuel Santos Calderón。国内有力紙『エル・ティエンポ』の発行元を所有する著名な一族の出身。カルタヘナ海軍兵学校を経てアメリカ合衆国に渡り,1973年にカンザス大学で経済学と経営学の学士号を取得。卒業後は国際コーヒー機関 ICOのコロンビア代表団団長を務めた。その間にロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで経済学,経済開発,行政学を学び,1981年にハーバード大学で行政学の修士号を取得した。帰国後はエル・ティエンポに入社,その後政界入りし,1991~94年貿易大臣,2000~02年財務大臣を歴任,2005年には国民統一社会党 PSUNを結成した。2006~09年アルバロ・ウリベ政権で国防大臣として反政府組織コロンビア革命軍 FARC掃討作戦の陣頭指揮をとり,2008年に 6年間 FARCに監禁されていた政治家イングリッド・ベタンクールの救出作戦に成功した。2010年大統領に選出され,2014年再選。52年に及ぶ内戦の終結に向け,政府と FARCとの歴史的対話を主導してきたサントスは,2016年9月26日,FARCのロドリゴ・ロンドーニョ最高司令官と和平合意文書の署名にいたった。10月2日に行なわれた国民投票で合意が僅差で否決されたものの,11月下旬には再交渉後の新協定が議会で承認された。2016年,FARCとの和平合意に尽力したとしてノーベル平和賞(→ノーベル賞)を受賞した。

サントス
Santos

ブラジル南東部,サンパウロ州南東部の都市。同国最大の港湾都市。中心集落は州都サンパウロの南東約 50km,大西洋に面し,狭い水路によって本土からへだてられたサンビセンテ島の本土側沿岸にある。市の前面あたりから南のサントス湾に向って水路は次第に幅広くなり,大型船が入港できる。 1543年建設され,この地方一帯のポルトガル植民地の主要港として発展。 19世紀後半から背後の高原地帯でコーヒー栽培が盛んになり,以後現在までコーヒー積出港として繁栄。コーヒーの積出量は世界最大で,市内いたるところにコーヒーの香りが漂っている。コーヒーのほか綿花,砂糖,バナナ,ひまし油,牛肉,トウモロコシ水産物オレンジ,皮革,工業製品などを積出し,同国の主要港の一つとなっている。工業も盛んで,製材,食品,セメント,石鹸などの工場がある。美しい砂浜海岸があり,海浜保養地としても知られる。市街は水路に面した低湿な沖積平野に広がり,亜熱帯性の多雨気候と相まってかつてはきわめて住みにくい土地であったが,排水路をはじめとする各種の衛生施設や舗装道路の建設により,衛生状態は大幅に改善された。サンパウロからマル山脈の急斜面を下ってケーブル鉄道と道路が通じ,サンパウロの外港としても機能している。人口 42万 8526 (1991推計) 。

サントス
Santos, Lope K.

[生]1879
[没]1963
フィリピンの作家,詩人,ジャーナリスト,労働運動指導者,政治家。タガログ語で小説を書き始めた先駆者の一人。主著『夜明けの光』Banaag at Sikat(1906)はアメリカ合衆国統治時代の労働者と資本家との闘争を描き,社会主義を紹介している。また国語文法の父とも呼ばれ,タガログ語に基づいた国語フィリピノ語の組織的な文法書『国語文法』Balarila ng Wikang Pambansa(1946)を書いた。(→フィリピン文学

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サントス」の意味・わかりやすい解説

サントス(Juan Manuel Santos Calderón)
さんとす
Juan Manuel Santos Calderón
(1951― )

コロンビアの政治家。1960年代以降、半世紀以上に及ぶコロンビア政府と左翼ゲリラとの内戦終結に向けた交渉を主導した功績を評価され、2016年のノーベル平和賞を授与された。平和賞の賞金800万クローナ(約9500万円)を同国内戦犠牲者の支援のため寄付すると表明した。

 コロンビアの首都ボゴタ生まれ。大伯父が元大統領、従兄弟(いとこ)は副大統領を務めた名門政治家一族の出身である。コロンビア北部のカルタヘナ海軍兵学校を経てアメリカのカンザス大学経済ビジネス学部卒。イギリスのロンドン・スクール・オブ・エコノミクスやアメリカのハーバード大学大学院を修了。国際コーヒー機関勤務やコロンビア国内の最有力紙エル・ティエンポの副編集長などを経て政界へ進出。1991年に通商大臣、2000年に財務大臣などを歴任、2006年から務めた国防大臣時には、左翼ゲリラ・コロンビア革命軍(FARC:Fuerzas Armadas Revolucionarias de Colombia)からの人質奪還作戦や掃討作戦を指揮した。2010年の大統領選で初当選し、2014年に再選された。大統領就任後すぐに断絶状態にあったベネズエラ政府との国交を回復。2012年からコロンビア革命軍との停戦交渉を開始し、2016年9月に和平合意に達した。ただこの和平合意案には、殺人、テロ、誘拐などを繰り返したコロンビア革命軍メンバーの政界復帰や元戦闘員の刑の減免などが盛り込まれていたため、2016年10月の国民投票で合意案は否認され、和平合意は宙に浮いた。

 しかし一連の和平に向けた功績を評価され、ノルウェーのノーベル賞委員会からノーベル平和賞を受けた。内戦終結に至っていない段階でのノーベル平和賞授与にはコロンビア内戦和平を後押しするねらいがあるとみられている。

[矢野 武 2017年3月21日]


サントス(ブラジルの地名)
さんとす
Santos

ブラジル南東部、サン・パウロ州南東部の港湾都市。大西洋から入り込んだグアルージャ水道の奥5キロメートルにあるサン・ビセント島に位置する。人口41万7983(2000)。1534年に建設され、ブラジル南部におけるポルトガルの植民活動のもっとも重要な拠点であった。北西60キロメートルにあるサン・パウロ市の外港として急速に発展し、世界一のコーヒー積出し港となった。大西洋に面する入り江の海岸にはホテルが林立し、リオ・デ・ジャネイロのコパカバーナ海岸と並ぶ保養地としても有名である。市街地の改造が進められ、広い並木道や郊外の高級住宅地が建設された。サン・パウロ市とはハイウェーと鉄道で結び、コーヒーのほか砂糖、オレンジなどを輸出し、機械類を輸入する。サン・パウロ市側の近郊の工業化が目覚ましく、精油、紡績など多種類の工場がある。1908年(明治41)6月、ブラジルへの最初の日本人移住者781名が上陸した日本人ゆかりの地である。

[山本正三]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「サントス」の意味・わかりやすい解説

サントス
Santos

ブラジル南東部,サン・パウロ州の大西洋沿岸地帯にある都市で,ブラジル最大の港をもつ。人口41万8375(2005)。サン・ビセンテ島上にあるが,大陸に密着し,サン・パウロ市より63kmの地点にある。16世紀,植民初期に開けたが,長く一寒村にすぎず,19世紀中葉からサン・パウロ州コーヒー生産の爆発的成長とともに〈コーヒーの港〉となった。世界消費量の7~8割を占めてきたブラジル・コーヒーの大部分はサン・パウロ,パラナ両州の内陸より送られて,この港からおもにヨーロッパ,北米に輸出された。またコーヒーの全盛期約1世紀の間に約300万人の外国移民(日本移民も)が入国したが,そのほとんどがこの港に上陸した。サン・パウロ州には早く1860年代以来鉄道網がよく発達し,この港を育てた。また1930年以降サン・パウロ首都圏はラテン・アメリカ最大の工業地帯に成長し,サントスは今,〈コーヒーの港〉から〈工業地帯の港〉に変貌しつつある。
執筆者:


サントス
Lope K.Santos
生没年:1879-1963

フィリピンの作家。ルソン島リサール州の生れ。苦学してマニラの師範学校を卒業,教師となった。このときフィリピン革命を経験,以後目覚ましい社会活動が開始された。1902年にフィリピン初の労働組合,フィリピン民主労働組合の創設に参加,03年以後は《再生》ほか多数のタガログ語週刊誌の創刊,編集に携わり,自らも自然主義的社会派小説をそれらに連載,《朝焼けと日の出》(1906)は社会派タガログ文学の古典とされている。1910-22年にリサール州知事,ヌエバ・ビスカヤ州知事,上院議員などを歴任した。その後タガログ語,タガログ文学の普及と国語の育成に尽力。フィリピン大学その他で教壇に立つとともに,国立国語研究所の所員および所長(1941-45)をもつとめ,多くの貴重な業績を残した。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「サントス」の意味・わかりやすい解説

サントス

ブラジル南東部,サン・パウロの南東約50kmにある大西洋岸の港湾都市。19世紀中葉から世界最大のコーヒーの輸出港となる。1930年代以降,サン・パウロ工業圏の拡大にともない,当市の工業化も進んでいる。1908年日本の最初のブラジル移民が笠戸丸で到着した。1543年創設。41万7098人(2009)。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

大臣政務官

各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...

大臣政務官の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android