ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ビュータン」の意味・わかりやすい解説
ビュータン
Vieuxtemps, Henry
[没]1881.6.6. アルジェリア,ムスタファ
ベルギーのバイオリニスト,作曲家。バイオリン演奏技術の発達に大きな影響力を与えた人物の一人。神童といわれ,父親に伴われヨーロッパで数々の演奏旅行を行なう。1829~31年ブリュッセルでシャルル・ド・ベリオに師事,1833~34年ウィーンでジモン・ゼヒターに和声学を,1835~36年パリでアントニン・ライヒャに作曲を学んだ。その後もヨーロッパ各地で演奏し,アメリカ合衆国へ 3度演奏旅行を行なった(1843~44,1857~58,1870~71)。1846~51年ロシアのサンクトペテルブルグ音楽院,1871~73年ブリュッセル音楽院で教師を務め,サンクトペテルブルグではロシアのバイオリン演奏に多大な影響を及ぼした。脳卒中による麻痺のため退職。正確無比な超絶技巧と豊かな音色を兼ね備えた演奏スタイルは広い支持を集め,華麗な演奏技術を誇る 19世紀初期の巨匠の一人となった。作曲家としても先駆的な作品を残し,特に協奏曲の発達に大きく寄与した。
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