翻訳|polonaise
男女1対が行列して進みながら踊るポーランドの民族舞踊,その舞曲および歌のことを指し,3/4拍子で中庸の速度をもつ。図のような典型的なリズムをもち,2拍目にアクセントがあるが,このリズム型が現れるのは18世紀末のころで,それ以前には各種のリズム型がみられた。起源や発展については種々の論があるが,農民の歌や踊りに起源をもち,農民から地方の小士族へ,次いで貴族や王の宮廷にまで広まったと思われる。宮廷のポロネーズは勇壮で華麗な器楽として発展した。この器楽ポロネーズはスウェーデン,ドイツ,フランスに広まり,そこから再びポーランドに入ってきた。この過程のなかで,クープラン,J.S.バッハ,テレマン,ヘンデルらによりポロネーズ曲が作られた。ポーランドでもポロネーズは管弦楽や独奏曲で取り上げられたが,18世紀末からはピアノ曲に多くみられるようになり,グラボビエツキGrabowieckiやボフダノビチBazyli Bohdanowicz(1740-1817)など多くの作曲家がポロネーズを作曲した。とくに《祖国よさらば》のオギンスキMichał Kleofas Ogiński(1765-1833)や《英雄ポロネーズ》のショパンは多くの傑作を残した。
執筆者:田村 進
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
ポーランドの舞曲。三拍子で、♫♫という行進曲風のリズムをもつ。起源は不明だが、最初は農民や市民の祝祭(とくに結婚式)で男女が列になり、歌いながら踊った舞曲および歌をさした。のちに貴族の宮廷でも取り上げられ、歌詞も洗練されたものとなるが、しだいに器楽曲としての性格を強めていく。この形がヨーロッパに伝わり、多くの作品が生み出された(バッハ、テレマン、モーツァルト、ベートーベンなど)。18世紀終わりごろからふたたびポーランドの作曲家が取り上げ、標題などもつけられるようになる。とくにオギンスキM. K. Ogínski(1765―1833)の憂愁に満ちたピアノ曲はその代表といえよう。そして今度は演奏会やサロン用の音楽としてヨーロッパに普及し、ショパンの『軍隊ポロネーズ』(1838)、『英雄ポロネーズ』(1842)、『幻想ポロネーズ』(1846)などの作品で頂点を迎える。19世紀以降、ウェーバー、シューベルト、シューマンをはじめ、多くのロシアの作曲家がこの舞曲をピアノ曲やオペラのなかに取り入れている。
[関根敏子]
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