ポロネーズ(読み)ぽろねーず(英語表記)polonaise フランス語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ポロネーズ」の意味・わかりやすい解説

ポロネーズ
ぽろねーず
polonaise フランス語
Polonäse ドイツ語
polonez ポーランド語

ポーランド舞曲三拍子で、♫♫という行進曲風のリズムをもつ。起源は不明だが、最初は農民や市民の祝祭(とくに結婚式)で男女が列になり、歌いながら踊った舞曲および歌をさした。のちに貴族の宮廷でも取り上げられ、歌詞も洗練されたものとなるが、しだいに器楽曲としての性格を強めていく。この形がヨーロッパに伝わり、多くの作品が生み出された(バッハテレマンモーツァルトベートーベンなど)。18世紀終わりごろからふたたびポーランドの作曲家が取り上げ、標題などもつけられるようになる。とくにオギンスキM. K. Ogínski(1765―1833)の憂愁に満ちたピアノ曲はその代表といえよう。そして今度は演奏会やサロン用の音楽としてヨーロッパに普及し、ショパンの『軍隊ポロネーズ』(1838)、『英雄ポロネーズ』(1842)、『幻想ポロネーズ』(1846)などの作品で頂点を迎える。19世紀以降、ウェーバー、シューベルト、シューマンをはじめ、多くのロシアの作曲家がこの舞曲をピアノ曲やオペラのなかに取り入れている。

[関根敏子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ポロネーズ」の意味・わかりやすい解説

ポロネーズ
polonaise

ポーランドの代表的な民族舞踊および舞曲。3拍子で,3連符の使用や短く明確な動機の繰返しなどによる歯切れのよい独特のリズムをもち,壮麗で祝祭的である。宮廷の儀式戦士の凱旋行進から発達した集団舞踊で,1573年クラクフの宮廷で踊られた記録がある。のちには一般の人々の婚礼の際にも演奏され,踊られるようになった。古くは男性のみで踊られたが,次第に男女が各列をなして踊るようになり,近代ではカップルで踊られる。バッハやヘンデルらによって芸術音楽に取入れられ,18世紀中頃に広く流行した。ベートーベン,C.ウェーバー,リストなどにも作品があるが,特にショパンのピアノ曲には『英雄ポロネーズ』『軍隊ポロネーズ』をはじめ 15曲の作品がある。また『白鳥の湖』『眠れる森の美女』『バフチサライの泉』などのバレエ作品にも取入れられている。

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