日本大百科全書(ニッポニカ) 「ピトエフ」の意味・わかりやすい解説
ピトエフ
ぴとえふ
Georges Pitoëff
(1884―1939)
フランスの俳優、演出家。ジョージア(グルジア)のチフリス(現、トビリシ)に生まれる。学生時代にモスクワ芸術座に通い、24歳で俳優活動に入る。のち主演女優となる同郷のリュドミラLudmilla(1896―1951)と結婚した1915年、亡命中のジュネーブで劇団を組織した。1922年パリのシャンゼリゼ劇場に進出し、第二次世界大戦前のフランス新演劇活動の一翼を担う。とりわけ、チェーホフ劇や『どん底』などロシア近代劇のフランス移植に功績があり、簡潔な象徴的装置と詩的想像力に富んだ演出法に定評があった。また、無名のジャン・アヌイを劇作家として送り出したのも彼である。
[石澤秀二]
『本庄桂輔著『演劇の鬼――ピトエフ夫妻の一生』(1958・白水社)』