ピューレックス法(読み)ピューレックスホウ

デジタル大辞泉 「ピューレックス法」の意味・読み・例文・類語

ピューレックス‐ほう〔‐ハフ〕【ピューレックス法】

Purex process原子炉の使用済み核燃料硝酸で溶かし、溶媒燐酸りんさんトリブチルを用いてウランプルトニウムなどを抽出・回収する再処理方法

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精選版 日本国語大辞典 「ピューレックス法」の意味・読み・例文・類語

ピューレックス‐ほう‥ハフ【ピューレックス法】

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] Purex process の訳語 ) 原子炉の使用済み核燃料の処理法の一つ。使用済み核燃料を硝酸で溶かし、溶媒でウラン・プルトニウムなどを抽出、分離する方式工程が簡単なため各国で採用されている。

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化学辞典 第2版 「ピューレックス法」の解説

ピューレックス法
ピューレックスホウ
purex process

使用済み核燃料の再処理における溶液抽出法の一つ.アメリカで開発され,名称はPlutonium Reduction Oxidationに由来する.現在,もっとも広く用いられている方法で,東海村の再処理施設もこの方法を採用している.この方法は,まず燃料体を切断し,核燃料のみを硝酸中に浸出溶解する(前処理工程).溶解調整液を,ミキサーセトラーあるいはパルスカラムによって30体積% TBP(リン酸トリブチル)と向流接触させ,分配比の差によって核分裂生成物と,ウラン・プルトニウムに分離する(共除染工程).次に,Puを Fe,Uなどで Puに還元することによって Uと Puの分離を行う(U-Pu分離工程).分離したウランとプルトニウムは,抽出法,イオン交換法などによって精製濃縮する(生成濃縮工程).TBPの希釈剤には,ケロシンドデカンが用いられる.ピューレックス法では,ウランとプルトニウムの99% 以上が分離回収される.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ピューレックス法」の意味・わかりやすい解説

ピューレックス法
ピューレックスほう
purex process

溶媒抽出を利用した使用済みウラン燃料の再処理法の一つ。溶媒にはリン酸トリブチルをn-ドデカンまたはケロシンで溶かしたものを用いる。まず,ウラン,プルトニウム,核分裂生成物を含む使用済みウラン燃料を硝酸で溶解して,硝酸ウラニル,硝酸プルトニウム,および核分裂生成物の硝酸溶液にする。この溶液をミキサセトラやパルスカラムなどの溶媒抽出装置に送り,ウラン,プルトニウムを分離精製する。核分裂生成物は放射性廃棄物として処理される。ピューレックス法は日本をはじめ,欧米の大部分の再処理工場で採用されている。

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