核分裂生成物(読み)かくぶんれつせいせいぶつ(英語表記)nuclear fission products; FP

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

核分裂生成物
かくぶんれつせいせいぶつ
nuclear fission products; FP

核分裂反応の結果生じる数種類の原子核をさす。核分裂反応によって直接できる一次生成物 (核分裂片 fission fragment) と,一次生成物がさらに放射性崩壊を起こしてできる二次生成物がある。ウラン 235の熱中性子による核分裂では,40種以上の分裂の仕方が知られていて,分裂生成物として 200以上の核種が見つかっている。一次生成物は質量数 72から 158の範囲に分布し,97と 138付近の核を生成する確率が最も高い。核分裂生成物は安定核に比べて中性子過剰の大きなものが多く,β放射性物質を多く含む。寿命の長いβ放射性核種トレーサーそのほかに利用される。そのおもなものに,ジルコニウム 95,ニオブ 95,イットリウム 91,セリウム 141,セリウム 144,バリウム 140,セシウム 137ストロンチウム 90などがある。

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世界大百科事典 第2版の解説

かくぶんれつせいせいぶつ【核分裂生成物 fission product】

ウラン235 235Uあるいは他の核分裂性核種の原子核は本質的に不安定であり,これに中性子とくに熱中性子が衝突すると吸収され,一部は安定なウラン236 236Uとなるが大半の原子核は分裂し,それぞれから二つ,ときに三つの原子核ができる。これを核分裂生成物と呼ぶ。235Uの分裂では質量数70から160あたりまでの原子核ができ,そのうち質量数95付近と138付近のところが最も生成確率が高い。核分裂生成物のほとんどすべてが放射能をもち,平均3回の放射性崩壊により安定な原子核となる。

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世界大百科事典内の核分裂生成物の言及

【核燃料サイクル】より


[使用済燃料の利用形態による違い]
 原子炉で一度用いた核燃料(これを使用済燃料という)には,なおエネルギーとして利用できる物質(UとプルトニウムPu)が残っている。そのような有用な物質が含まれているにもかかわらずいったん原子炉の中から取り出す必要があるのは,エネルギー生産に伴って発生した燃えかす(これを核分裂生成物という)がたまりすぎているからである。核燃料サイクルは,使用済燃料に残存するU,Puをふたたび利用するかどうかで基本的に異なってくる。…

【原子力】より

…ふつう,天然に存在する元素のうちでは,ウラン,特にウラン235235Uという同位体が最も核分裂しやすい。235Uが中性子と衝突して核分裂を起こすと,核分裂生成物とよばれる,ウランよりずっと軽い物質と,2~3個の中性子とができる。と同時に,膨大なエネルギーが発生する。…

※「核分裂生成物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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