ピンダーリー(読み)ぴんだーりー(英語表記)piārī

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ピンダーリー」の意味・わかりやすい解説

ピンダーリー
ぴんだーりー
piārī

インドのマラータ諸侯の不正規兵力をなした武装集団。その首領にはパターン(アフガン)系の武将がみられるが、集団は多種族混成であった。語源は彼らの愛飲する酒の名とも、儀礼の際に火中に投じる聖餅の名ともいわれる。17世紀末に存在をたどりうるが、18世紀の政治的混乱のなかで地方の土侯傭兵(ようへい)となって略奪盗賊によりながら肥大したものであろう。19世紀初めにマラータのシンディア家マールワで彼らの首領に土地を支給してから、その勢力は中央インドに広く及び、ハイデラバードからマドラス管区北部に進出してイギリス脅威を与えた。ヘースティングズ総督は1817年ピンダーリー掃滅戦を開始して成功したが、これは第三次マラータ戦争を誘発することとなった。

高畠 稔]

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ピンダーリー」の解説

ピンダーリー
Piṇḍārī

18世紀から19世紀初めにかけて中央インドでみられた武装集団。語源は不明。剣と槍で武装し,騎馬で迅速に移動しながら略奪を行った。この集団に加わるためには独特の儀礼があった。元来はマラーター諸侯など有力者軍隊の補助部隊だったが,イギリスの征服によって軍隊が解体されると流賊化し,職を失った他の兵士を吸収して数を増した。イギリス領にまで攻め込むようになったので,イギリスはピンダーリー戦争(1817~18年)を起こして鎮圧した。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ピンダーリー」の意味・わかりやすい解説

ピンダーリー
Pindari; Pendhār

18世紀から 19世紀初頭にかけて北インド,中央インドを荒した群盗。イギリス植民地軍に滅ぼされた藩王の失業軍人などから成る盗賊団で,マラータ諸侯とも結びついてイギリス軍と戦った。 1817年イギリス軍はマラータ軍に対して3度目の戦争 (第3次マラータ戦争 ) を挑み,18年にはほぼピンダーリーを一掃した。

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