フィロカリア(その他表記)Philokalia

改訂新版 世界大百科事典 「フィロカリア」の意味・わかりやすい解説

フィロカリア
Philokalia

キリスト教の教えを伝える文献で,教父またはすぐれた修道士の著作の抜粋集。この題名のもとに2種類の作品が知られており,ひとつはオリゲネスの著作をカッパドキアバシレイオスとナジアンゾスのグレゴリオスとが抜粋したもので,4世紀の中葉成立。他はアトス山の修道士がヘシュカスモスの教えをまとめたもので,1782年にベネチアで初めて刊行された。いずれもギリシア語で書かれ,後者翻訳(特にスラブ語訳)によって東方正教会の神学思想に大きな影響を与えた。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フィロカリア」の意味・わかりやすい解説

フィロカリア
philokalia

(1) 「美への愛」の意。アウグスチヌスによれば,真なる美とは知であり,「美への愛」は「知への愛」 philosophiaのいわば妹である。 (2) ギリシア正教会修道士の散文集。ギリシア語表題の意味はこの場合「神の善と美への愛」。 1782年コリントのマカリオスとニコディモス・ハギオリチスの両主教によって編纂,発行された。内容は,11~12世紀以来修道院でヘシカズムの先駆者とみられていた教父たちやヘシカストたち自身の散文の抜粋から成り,そのテーマは内的禁欲主義である。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android