日本大百科全書(ニッポニカ) 「フィンボガドッティル」の意味・わかりやすい解説
フィンボガドッティル
ふぃんぼがどってぃる
Vigdís Finnbogadóttir
(1930― )
第4代アイスランド大統領(1980~1996)。レイキャビーク生まれ。フランスなどに留学して文学や演劇史を研究。帰国後、大学やテレビでの流暢(りゅうちょう)なフランス語で名を馳(は)せた。国立劇場支配人を務め、国民投票で1980年8月、第4代アイスランド大統領に就任。この国でも世界でも初めての民主的選挙による女性大統領であった。特定の政党に属さず、北大西洋条約機構(NATO)基地の存続には消極的。優雅で活動的、能弁で理知的、美しい笑顔と親しみやすさなどが勝因であった。若いころから中立を保ちつつ平和運動や女性解放運動に奔走、信条は自国文化と言語の発展、男女平等と平和の実現にあった。4期16年を務め、1996年6月末辞任。1987年(昭和62)9月北欧文化紹介行事「スカンジナビア トゥデイ」のため初来日。以後、昭和天皇ご大葬、日本アイスランド協会設立(1991)などに5回来日。大統領辞任後の1997年10月、レイキャビークにおける国連食糧農業機関(FAO)の式典で、この分野での功績からケレス賞(Ceres=ローマ神話の農業の女神)を受賞。同年11月、新設の「国民代表者国際会議」議長に選出。1998年1月、ユネスコ(UNESCO)に新設された「科学技術倫理会議」議長に選出された。同年10月「ユネスコ親善大使」に任命された。ユネスコの協力のもと、言語の多様性を守り、多言語教育を推進する。
[浅井辰郎]