フェンリル(読み)ふぇんりる(英語表記)Fenrir

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フェンリル」の意味・わかりやすい解説

フェンリル
ふぇんりる
Fenrir

北欧神話のなかの怪狼(かいろう)。ロキアングルボザの子。フェンリル災いのもとになることを恐れた神々は、これに足枷(あしかせ)をはめようとするが、そのときにフェンリルを欺かない保証としてチュール神が片手をフェンリルの口に差し入れ、噛(か)みちぎられる。フェンリルは神々の滅亡のときまで岩につながれていたが、そのときがくると呪(のろ)いの紐(ひも)を食いちぎり、主神オーディンとわたり合って彼を飲み込む。しかしフェンリルは、オーディンの子ビーザルに口を引き裂かれ命を落とす。

[谷口幸男]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フェンリル」の意味・わかりやすい解説

フェンリル
Fenrir

北欧神話の怪狼。フェンリスともいう。悪神ロキと巨人の女アングルボザの子。フェンリルの怪力と悪業を恐れた神々は,ねこの足音,女の顎ひげ,魚の息などさまざまな不思議な材料でより合せた魔法の綱をつくり,それで彼を縛り,岩につないだ。フェンリルはラグナレクまでつながれているが,世界が破滅するときに解放されてオーディンを飲み込む。しかしオーディンの息子ウィザルに顎を引裂かれて最期をとげるという。

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